阿部眼科クリニック

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阿部眼科クリニック

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院長・阿部充志 医学博士 日本眼科学会専門医

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■ 光干渉断層計、OCTは役に立つ最新機器

 2008年から保険適応になった最新機器が光干渉断層撮影(OCT)で、阿部眼科クリニックは本年3月に導入しました。光の干渉する性質を利用して主に網膜の断層撮影を行う器械です。

初期のOCTは、時間がかかり、患者さまも大変だったのですが、最新の機種では2秒くらいで撮影できるため、患者さまの負担も少なくなっております。対象となる疾患は、加齢黄斑変性、黄斑上膜、黄斑円孔などの網膜疾患と緑内障です。

網膜の厚さは500μmくらいですが、昔からきれいな10層構造をしていることがわかっていました。しかし、以前は眼底デジタル撮影など、2次元的に観察して、診断をつけるしかありませんでした。しかし、OCTは解像度が7μmでこの網膜の10層構造を3次元的に、簡単に調べることが出来るのです。

たとえば、黄斑上膜という病気があります。この病気は、50歳以上で、目の老化が起こってきたときに、網膜の上に透明な薄い膜ができ、その膜が収縮することで網膜にしわがより、物が歪んで見える病気ですが、OCTでみると実際に薄い膜や網膜のしわが観察でき、診断や病気の経過を目で見て判断できます。最近急激に増加している加齢黄斑変性も新生血管の部位を知ることが出来ます。

また、高齢化社会で問題になっている緑内障もOCTで神経節細胞という目と脳をつなぐ大事な細胞の厚みや、神経節細胞が出している神経線維の層の厚みを調べることによって、緑内障の早期発見や障害された部位を特定できるようになりました。緑内障の患者さまは、今までは定期的な視野検査で治療経過をみていた訳ですが、これからはOCTでも補助的手段として経過を追うことが出来るようになりました。

 検査は、予約は必要なく、受診日にすぐ検査を受けることが出来ます。このように、最新のOCTを用いることで、患者さまのQOLの向上に少しでも貢献できることを願っています。

■ メタボリックシンドロームと目

 メタボリックシンドロームになったら眼底検査を受けましょう。

 85cmと90cm、この数字を見てぴんと来た方は大勢いらっしゃることと思います。ご存知のように、いわゆるメタボリックシンドロームの目安となる男性と女性のウエストサイズです。メタボリックシンドロームについて、簡単に触れておきたいと思います。この言葉は、世界的にも認められていますが、国によって診断の基準が違います。日本の基準は、2005年4月に決められています。決めたのは、日本肥満学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本循環器学会など日本を代表する8つの学会です。

 診断の基準は、内臓脂肪蓄積に加えて、@高脂血症(高中性脂肪血症または高HDL血症)、A高血圧、B糖尿病のうち2つ以上を持っている方です。この基準で、面白い点が2つあります。ひとつは、最初の内臓脂肪蓄積ですが、本来ならCTスキャン(腹部の断層撮影)をとってから一定以上の内臓脂肪があることを確認しなくてはいけないのですが、これに変わる方法としてメジャーでおへその周りのウエストを測るという方法を採用している点です。非常に簡単ですし、これならコストもかからないし、放射線を浴びることもないので安心です。尚、学問的には、内臓脂肪蓄積とウエストの関係はきちんと調べられているようです。

 もうひとつの面白い点は、@からBの高脂血症、高血圧、糖尿病の診断の基準が、甘く設定されていることです。たとえば高血圧ですが、一般的に最高血圧160以上、最低血圧95以上が高血圧の診断基準ですが、今回のメタボリックシンドロームのための基準は最高血圧130、最低血圧85となっています。他の高脂血症、糖尿病の基準も甘めに設定されています。この理由は、「メタボリックシンドロームはそれぞれの@からBの病気が軽くても、それらが複合して心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい。」また、「内臓肥満型肥満の人が、皮下脂肪型肥満の人より心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞や脳出血)を起こしやすい。」ということが分かってきましたので、より早期に危険性のあるひとを見つけ、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などの致命的な病気を予防できるようにしたいからとの事のようです。

 私は、昨年10月まで東芝林間病院という企業系の病院で5年間仕事をしてきましたが、毎日ドックの患者様の眼底を20人くらい観てきました。眼底をみることで、高血圧・動脈硬化性変化の有無と程度は、すぐに分かりますし、糖尿病が内科で見つかっていない人でも眼底検査で見つかることもあります。高脂血症も、高血圧のない人で、眼底の動脈が硬くなっていたり、眼底出血を起こしたりしてきた場合見つかることがあります。

 月並みな言葉ですが「目は心の窓」といいますが、違う意味で眼底検査をお受けになることで、いろいろな生活習慣病が見つかることは昔から言われています。これからはメタボリックシンドロームを目で見つけようということも期待されてくるのではないかと思われます。また、メタボリックシンドロームになったら、必ず眼科受診をして眼底出血がないか、動脈硬化はないかは、最低限チェックしていく必要があると思われます。

 今後、ますます老年社会になっていきますが、最低限自分のことは自分でやりたい、できれば子供にも迷惑をかけたくないと思われている方が多いようです。かく言う私も、最近ウエストがメタボリックシンドロームの診断基準に引っかかってきまして少し焦ってきております。少し体を動かさなくてはいけないなと思っているこの頃です。皆様も、お気をつけ下さい。

■ 花粉症の話

 今年も、そろそろ杉の花粉情報が報道され始めました。
大和市、相模原地区は、丹沢山系の東部に位置するためか、花粉の飛散量は多いようです。
毎年の恒例行事のようなものなので、既に花粉症になっておられる方は、眼科受診の際に「まだかゆくないのですが、そろそろなのでお薬を」と、準備なさっておられます。
私も、30才半ばより花粉症にかかり、そのつらさが良く分りますので、花粉症の患者様には他人事とは思えず、この薬が効きますと、症状に応じて細かく対処しています。

 そもそも、いまから15年くらい前には、杉の花粉症はあってもまだ社会的には大きな問題になっておらず、花粉情報がテレビで流され出したのもそれほど昔ではありません。
花粉症が大きな社会問題になってきたのは、たぶん高度成長時代が過ぎ去った頃からです。

 なぜ、花粉症の患者が急増してかについては、諸説あります。
植林による杉の数の増加と花粉の飛散量の関係は間違いの無い所です。
しかし、明治の頃に秋田等の杉の産地で花粉症が多かったという話は聞きません。
たぶん、花粉以外のアレルギーを引き起こし易くする原因が、戦後増えたに違いありません。

 糖尿病などの生活習慣病は有名ですが、これと同じように戦後の日本人の生活の急速な変化が環境要因になっていることは十分考えられます。また、ホルムアルデヒドなどのシック・ハウス症候群や、電気蚊取りなどの有機リン系の農薬に近い成分の影響も考えられます。現在の所、花粉症の激増の本当の原因は不明ですが、将来的には、対症療法だけではなく、原因療法を行えるようになれば良いと思います。

 現時点では、眼科では、主に点眼薬による対症療法により、体の過敏な反応の悪循環から眼を解放するという治療になります。点眼薬は、非ステロイド性のものとステロイドがあります。症状の軽いうちには非ステロイド性の点眼薬で十分ですが、症状のある程度ひどい場合にはステロイドの点眼薬が必要です。自然食ブームなどの影響か、ステロイドと聞くと、違う意味のアレルギーを起こされる方が時々いらっしゃいますが、薬は良く効くものを必要な期間だけ使用することが大切です。そのためには、やはり眼科は眼科、耳鼻科は耳鼻科で臨床所見に応じた治療が必要です。

 花粉症を防ぐには、アレルギー性鼻炎と同じく、まずは花粉に暴露されないこと、症状があまりひどくならないうちに眼科専門医を受診することを心がけてください。杉花粉の季節は、桜の花の頃までです。皆さん、桜の花が咲くまで、頑張って、この春を乗り切って参りましょう。